第4回 「脳卒中のリハビリテーション」
講師 : 大勝巖科長(作業療法士)
小牧祥太郎・大江智(言語聴覚士)
大勝病院の患者さま・ご家族を対象にした医療講座、「患者友の会勉強会~神経内科の病気のお話~」が毎回好評です。第4回は平成23年10月15日(土)開かれ、作業療法科の大勝巖科長と言語聴覚療法室の小牧祥太郎・大江智両言語聴覚士が、それぞれの専門的な立場から、基本的なリハビリテーションについて話しました。
前半を受け持った大勝科長は「脳卒中のリハビリテーション」と題して、「作業療法では、手を使い頭を使う活動は、手指機能の高まりばかりでなく、脳の活性化や精神の活性化を生み出し、人としての価値を高めると考えている」と、作業療法の基本的な考え方を説明しました。そして、脳卒中などによって起こる運動マヒの程度には6段階あり、自分のマヒの程度を知り、そのマヒの段階に合った訓練をすることが大事とのこと。そのポイントを上肢(腕)・手指の運動を中心に、ごく簡略化して述べてみます。
ステージ1、2;(1は自分で動かせない状態。2は僅かに動く)ストレッチや関節を動かせる範囲で訓練。
ステージ3;(動かせるが、上肢をあげようとすると肘、手首、手指の関節も動く共同運動がある)ストレッチや関節を動かせる範囲で訓練。曲げる訓練や握る訓練は好ましくない。マヒのない手で伸ばす方向への訓練。ボツリヌス療法が有効。
ステージ4;(筋肉の突っ張りが減少し、共同運動からの離脱が始まる)曲げ伸ばしができるようになるが、すぐ突っ張るようになり動きを邪魔する。ストレッチ→訓練→ストレッチの繰り返し。ボツリヌス療法が有効。
ステージ5、6;(5は分離した動作がかなりできる。6は分離した動作が正常よりは遅いけれど早くできる)日常的にどんどん手を使う。関節を動かしにくくなったらストレッチを心掛ける。できる動作を繰り返し行い、耐久性をつける。
締めくくりとして「正しい訓練は今の状態より手の機能を改善する。決してあきらめないでください」と呼びかけました。
後半は大江言語聴覚士が言語聴覚療法について説明したあと、小牧言語聴覚士に実技を演じてもらいながら嚥下訓練や嚥下体操を紹介、構音障害訓練、失語症訓練、脳活性化訓練なども紹介しました。
来場者からは「主人の麻痺段階がどのステージにあるかが分かった。動かない手を勝手に動かすことが間違いだとも知った。家庭でのリハに役立てたい」「参加者は悩みながら努力している本人・家族だと思う。であれば、理論的なものだけでなく、実際にさせてみる部分もあってよいのでは」などの感想、要望が寄せられていました。