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第20回 患者友の会勉強会~認知症のつきあい方~

第20回 「 地域みんなで支えよう認知症 」


  講師 : ①「認知症とは」
                有村公良 
                          (大勝病院院長)

 

      ②「地域でみんなで支えよう認知症」 

                    黒野明日嗣先生
                          (公益財団法人 慈愛会 介護老人保健施設「愛と結の街」施設長)
                          (認知症疾患医療センター副センター長)

 

第20回となる大勝病院患者友の会勉強会~神経内科のお話~は、10月9日(土)、老健ひまわり5階研修室で開催されました。

 有村院長は、「認知症とは」と題しまして、認知症による物忘れと加齢による物忘れとの違いや、中核症状と周辺症状について、アルツハイマー病の診断や初期症状、治療についてまで分かりやすく説明されました。

 黒野先生は「地域でみんなで支えよう認知症」と題しまして話され、高齢化社会を迎えて85歳以上の3人に1人が認知症を発症し有症率が年々上昇傾向にあること、認知症は完全に予防する方法が見つかっていないこと、誰もがなる可能性があることを紹介し、毎日の生活で気をつけることとして、変化にとんだ生活をする、人とよく話をする、新鮮な食材で朝昼晩きちんと食事をする、運動をすることを挙げられました。

 その上で「認知症は薬でなく、人が治療する病気であり、地域には認知症を治す力がある。認知症になっても安心できる地域にしよう」と持論を展開し、それには、「誤解を受けやすい認知症を正しく理解することから」と次のような点を力説されました。
「認知症は人と人のつながりを切ってしまう病気…なぜなら周辺症状により周りの人に誤解を受けてしまっても自ら修正できず、やがて孤立していく。こんな時、みんなが認知症をよく知っていたら、どうだろう。例えば、時間の感覚がなくなった認知症の人が『こんばんは』と言ってしまって他に言葉が出ないまま困っている時、軽く『こんばんは』と返してあげる。そうすると、きっと認知症の人は気持ちが和むに違いない。認知症は何も分からなくなるわけではない」
 「認知症で一番多いのはアルツハイマー病だが、この病気は正確に言うと、物忘れではなく、覚えられない病気。物忘れと覚えられないことは似ているようで全く違い、受ける印象も違う。特に家族が抱く印象が全く違ってしまう。症状を単なる物忘れと説明すると、なんで忘れてしまうの、なんで、どうして?と、本人を責めてしまうが、覚えられないと説明すると、だったら仕方がない…本人を支援してあげようという気持ちになり、納得できる。認知症の病気を正しく理解することで、家族も前向きになる。前向きになればよいケアにつながる。よいケアを受けた認知症の方は安心する。結果進行が遅くなる。認知症の病気を理解することは治療である」
 「新しい環境へ移動すると認知症が進むと言われる。古い記憶を使った人間関係がなくなり、また、認知症は覚えられない病気なので、新しい人間関係が作れないからである。だから慣れ親しんでいる地域での暮らしは病状を安定させる。認知症への理解を深め、地域でも支援していってほしい」
 このほか、いろいろな周辺症状についても、前向きに捉える考え方についてや、症状によって起こるさまざまな行動に対しても例をあげ、メカニズムから対応まで分かりやすく説明され、改めて認知症への理解を深める機会となりました。
 

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